素材 : 鹿角
至水・道甫 根付彫刻2人展
FREESTYLE NETSUKE DUNGEON
出品作品其の弐
野晒喰
a.k.a
Slimy Pudding Man Eater
ファンタジー RPG をプレイ開始して
先ず最初に遭遇するモンスターと言えば
スライム
ですよね?
序盤では経験値稼ぎにせっせと屠りまくられ
自キャラのレベルが上がる頃には
遭遇するだけで鬱陶しいザコキャラへと成り果てるプニプニしたアイツ
コレはやはりファミコンというプラットフォームで
ビデオゲーム式 RPG の基本フォーマットを定着させた
「ドラゴンクエスト」
による刷り込み効果であるとは思いますが
ローグライク的にはスライムと言えば攻撃受けると分裂増殖したり
装備の+補正を削られたり酸を浴びせかけられたり
むしろイヤらしい特殊攻撃を仕掛けてくる強キャラな印象なのですね
(ローグライクのザコキャラって「蟲」とか「小動物」とかそんな感じダカラ)
でもまぁ和製 RPG のスタンダードに敬意を表しまして
彫りましょう
ザコキャラとしてのスライムを!
六面図
野晒した頭蓋にこびり付く微量の蛋白質や脂質を
粘液で溶解しながら啜り喰らう飢えた粘着玉
それが
スライム
超弱いゾ!
左眼窩孔にすっぽり収まる蝸牛さん
野晒の根付で定番の意匠と言えば
サレコウベ+小さな生き物
蛙だったり百足だったり蛇だったり色々ですが
今回は「蝸牛」を合わせてみたのでした
スライムと蝸牛はスティッキー繋がりだし
あっ!でも逃げて蝸牛!
スライムに溶かされちゃうぅぅぇ(涙)
サイズはこんなで
紐を通した画像が無いのですが
今回は裏面が髄で荒れすぎていた為
そのまま紐通し穴を形成しては紐を傷めすぎると判断し
紐穴部分は髄の無い鹿角で別パーツを製作し嵌めてます
二人展に来場された海外のお客様よりの御質問
「表面処理」のお話を
今回の根付「野晒喰」では
スライムのお肌とサレコウベの表面で仕上げ方を変えています
スライムは#600の空研ぎ紙ヤスリまで掛けた後
#1000の砥粒で擦り艶を出しています
サレコウベはヤシャで染めた後に径0.3mmのラウンドバーを使用し
染めを残したい深い溝を避け
表面の染めを豊隆に沿わせた浅い溝を彫る様に剥いで行きます
最後にロビンソンブラシで全体を磨いた後に砥の粉で擦り
イボタ蝋を擦ったブラシで磨いてこんな感じに
マットなサレコウベの骨感と艶のあるスライム肌という
質感の違いを表現しています
さて「野晒喰」に於ける RPG と古典根付のマッシュアップの件
今回先ず RPG に欠かせない
ザコキャラとしてのスライムを彫りましょうという所から
根付の定番意匠でスライムとマッチするものって何?と考えまして
いやそんなの無い訳ですよ!
で、低価格で御提供出来るこじんまりとしたサクッと彫れる意匠である事
とかも絡んで来ましてですね
コレしかねぇと頭に浮かんだのが「野晒」の意匠
サレコウベならサクッと彫れるし♪
野晒の根付を「死は次の生の始まり」を表す意匠と見るならば
「野晒したサレコウベを喰らい生を繋ぐスライム」とかどう?
ハイ来たマッシュアップ成功でしょ!!!
こじつきましたよっめでたいっやったよっ(滝涙)
失礼、取り乱しました
そんな見立ての「野晒喰」でしたという事で
さて次は
今回の二人展は「RPG」をキーワードに何かファンタジーっぽい?
それっぽい根付を並べてみましたーって言うのではなく
実は一本核になるシナリオがあってですね
ゲームも大詰め艱難辛苦を乗り越えダンジョン最下層
「冥王の間」に辿り着いたパーティ御一行を待ち受けていたのは
"Lord of HANAKAGE"
最終ボスの登場です
彫りますよ♪
続く
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