2013/08/25

根付 其ノ参拾

満腹
素材 : 鹿角、水牛角


福良雀です

え !?

至水が福良雀を !?

至水のくせに !?

と皆さんの頭上にも沢山 ! と ? が浮かんでいる事と思いますが・・・


では先ず福良雀に手を出すに至った経緯からですね

ここ数年、私の密かなブームとなっている
「雀の餌付け」
今では私が玄関から出ると
何処からともなく雀さん達が群がってくる様になりました
餌は前日の晩御飯で残ったお米
生米よりも喜んで食べている様に見えます
この炊いた御飯は粘りますので
至る所に米粒が貼り付いちゃう訳です
その雀の まぁ
めんこいこと ♪

で作っちゃいました
これ!
散々食べて満腹になり御飯粒まみれで御満悦の雀さん

六面図
うーん、いわゆる福良雀の丸っこさが足りない・・・
あと、雀だ雀だと心に言い聞かせながら見る事が大事
一瞬でも「あれ?これアヒル」って思ったら負けです(泣)

米粒まみれっ(笑)

サイズはこのくらい
小っさカワイイ 全長33mm

「もう食べられないよぅ」
という事で「満腹」の完成です

至水だって彫るんですよ
根付のど定番意匠をねー!

だってさ
福良雀って
カワイイじゃん ♪


2013/08/22

根付 其ノ弐拾玖

いねがぁ
素材 : 鹿角、赤瑪瑙、水牛角

なまはげの根付の御注文です
好きにやっちゃっていいとの事でしたので
のびのびとやっちゃった下絵が
コチラ
お客様のリクエスト
「腰巻の紙垂」「包丁を振り上げて」「牙大きく」
を全て盛り込み さぁ彫りへ・・・

と、その前に

今回からは彫りに入る前にモックアップを製作する事にしてみました
前回の根付「十二天将」で得た教訓を活かした試みです

そもそも絵から立体を起す技術に秀でている訳でもなく
更には下絵無しで気ままに彫り始めるという無軌道さ故に
行き詰り手が止まる事数え切れず
結果的に納期の遅れを引き起こすという
ね(汗)

モックアップを製作する事で
一度立体になった状態を把握出来ますし
なにより作業途中でもパーツの位置関係の確認が可能!
この安心感は彫り進めるうえで大変心強いのです


という事でスカルピーでモリモリっと製作したのが
コチラ
追加リクエスト「水桶を持たせる」も再現
ハナ垂れっ子は背面に移動してます

それではいよいよ彫りに移行
モックも作ってコリャ作業が捗るわいと思いきや
カーバイトバーがへたってて粗彫りで躓きます(泣)
注文したら欠品中!メーカー取り寄せで四日かかるですと !?

しかし

作ってて良かったモックアップ!
全体の粗彫りは置いといて
安心して顔のディテールをガシガシ弄る事が出来ます


カーバイトバーが到着した後サクサク作業が進みまして
どん!
六面図
染めはあっさりめに抑えてみました

蓑に紛れ込み泣き叫ぶハナ垂れっ子

どっしり体型のなまはげ様

サイズはお客様のリクエストで大ぶりの
50mm

下絵ともモックとも違う雰囲気のお顔立ち
男前になっちゃったね!

なんやかんやありましたが
なまはげ根付
「いねがぁ」
完成です!

今回、お客様の誕生日が八月という事で
それに合わせキッチリと納期が設定されていました
これは何時も緩~くぼんやりとした納期で
ウヒャウヒャやっていた私にとって始めての状況(汗)
それでもナントカなったのは
やはりモックを準備したからなのでした
(とは言え相当タイトなスケジュールでしたね・・・)

今後、御注文品には下絵ではなくモックアップで
意匠等御提案させて頂く方向で参ります
宜しくお願い致します


さて、役目を終えたモック様・・・
全身鹿角の削り粉に塗れ
背面のハナ垂れっ子の顔面は潰れて消失・・・

本当はコイツを捏ね直して
モック製作用スカルピーとして再利用するつもりだったのですが
この状態から再度使用出来るところまで持って行くのは
相当大変(汗)
ならばいっその事
次回からは焼いて固めちゃおうと思う至水なのでした
ポーズモデルのストックにもなるしね!




2013/08/18

根付 其ノ弐拾捌

十二天将
素材 : 象牙、真鍮



前振りからの続き



先ずは十二面がそれなりに彫れる大きさの材探し
今回は大ぶりで彫りやすい象牙をチョイスしました

彫り始め
とにかくザックザック彫り進めます

楽しいです

もうお気付きでしょう


全然下絵と違うやんけ!

もうなんでしょうね

御注文品なのにですよ!?
彫ってるうちにどんどん意匠を変えてしまう・・・
そういう病を患っているに違いない(汗)

で確認も取らず変更し 
後からこんなに変えてどう思われるだろうかと悩み 
手が止まりがちになるという負のスパイラルに突入して行くのです 
完成が遅れる原因の多くがコレ 

しかしなんとか完成し 
六面図 
貴人なんて別人じゃないですかっ(汗) 

個々の共通項を増やし統一感を出す為に 
全員の目は真鍮のみで象嵌しています 

ではお一方ずつご紹介を 

今回各天将それぞれの造形にはゲームや漫画や映画や格闘技等 
サブカル方面の作品からインスパイアされた何かが多分に含まれております 
色々思いを巡らせお楽しみ下さい

「貴人」 
KIJIN 
十二天将の主神 
下絵ではミステリアスな雰囲気を出したくて顔をベールで隠していたのですが 
彫りだしてからなにか弱いなと考え直しこの様に変更しちゃいました 
ポイントは黒目がちな瞳と黒いルージュ 
セーマンを記された式札を張り込んだ笠を被っているのは 
某洋ゲーに登場するゴッドオブサンダーを女性にしてみた 
ってところから来てます 


「騰虵」 
TOUSHA 
炎に包まれる有翼の蛇・・・ 
とにかく炎をまとった蛇男な感じで炎の表現を楽しみました 
楽しすぎて少々クドくなったかも?
これは下絵とほぼ変わってないです


「六合」
RIKUGOH
平和や調和を司るというキーワードから「幸せ黒子」は必須です
争いとは無縁の温和で寛容な顔を目指してみました
あと五行で言うところの木神なので木の葉をあしらっております
「争い事、ダメ絶対」
こちらもほぼ下絵道りで


「大裳」
TAIMO
天帝に仕える「デキル」文官
ただ文官の人を彫ってもアレなので
筆先の軌跡上に実体が形成されて行き・・・な雰囲気に
下絵では仕事の出来すぎ具合が鼻につく
少しイケスカナイ感じにしたのですが可愛めに仕上がっちゃいました


「大陰」
TAI-IN
知恵に長けたお婆様というお題ですので
下絵では頭に眼鏡を配置していたのですが
流石に雰囲気に合わないと思い「開いた天眼」に変更しました
某スタジオのアニメ映画に登場する温泉宿店主のカホリが微かに・・・


「勾陳」
KOUCHIN
容姿は黄金の蛇で都のセンターの守護神と言えば
そう四方神の長、黄竜様と同一ですね
武神感を出したかったので蛇をあしらった兜を装着させました
喉元、髭の下には無数の蛇が集まって勾陳を形成して行く様を彫ってます
昔ゴッドサイダーって漫画があってですね・・・


「天后」
TENKOH
航海の安全を司る それが彼女の使命
名前でググルと巨大彫像を発見出来ます
頭部の装飾はその像を参考にさせて頂きました
波の表現も楽しかったぁ
しかし和女性仏像顔は難しい・・・今回も・・・ねぇ(汗)


「天空」 
TENKU 
霧や黄砂を自在に操るスキンヘッドなドルイドのイメージで 
フィーッと霧吹いてます 
側頭部に紐穴を配置され御機嫌斜めな様子 
こういうオッサン顔は彫っててとても楽しめます 


「青竜」 
SEIRYU 
言わずもがなの四神の一人、東方の守護神「青竜」です 
竜の顔をどんどんヒト方向にモーフィングさせていって 
丁度イイとこで止めましたな感じに 
ダンディでしょう? 


「白虎」 
BYAKKO 
西方の守護神「白虎」 
虎の擬人化で先ず思いつくのは虎の穴出身のアイツや 
某洋ゲーⅡに出てくる四本腕の中ボス 
そんな感じを狙ってます 
下唇噛み締め顔を彫るのは楽しかった


「朱雀」
SUZAKU 
南方の守護神「朱雀」 
下絵ではリベット打ちしたヘルメットで戦闘機感を出したつもりでしたが 
これも変更 
炎の装飾でルチャドールのマスクを意識してます 
マスク下から覗くとちゃんと鼻も存在してます 
スカイハイ! 


「玄武」 
GENBU 
四神の最後、北方の守護神「玄武」 
どうも玄武と聞くと色黒のお爺様が浮かんでしまって・・・ 
で相棒の白蛇とのコントラストが良いなぁと思うのです 
お爺顔も彫ってて楽しい


サイズはこんな感じ 
私が彫った中で最も巨大な根付となりました 

下からの画像、色々入り組んでます 
大陰の顔面のカーブ気に入ってます 

という事で 
根付『十二天将』完成です 
最後に引きの画で全体の雰囲気をどうぞ 

今回はほんと色々考えさせられた根付製作でした 
この教訓は次の根付製作で一つの答えを導き出すきっかけとなりました
それは一体何なのか? 

次回の根付投稿に御期待下さいませ! 



根付 其ノ弐拾捌 《前振り》

『十二天将
素材 : 象牙、真鍮

うわっ
根付の投稿半年振りなんだ(汗)
ヤヴァイ ヤヴァイ

先月なんとか完成し納品は済ませていたのですが

「眼の象嵌直しかも・・・」

という風の噂を小耳に挟んでいたもので投稿を止めておりました

ところが!
先日無事引渡し完了
これでOK出ましたと連絡を頂きましたのでぇ
歓喜の舞いをウヒャウヒャ踊りつつ
半年振りの根付投稿で御座います



遡る事数ヶ月前
ペアの面根付『陰』陽』を御覧になったお客様より
寄せ面根付なんてどう?というお話がありまして
顔を彫るのは大好物!
七福神や能面のダウンスケール版なんかが寄せ面根付の定番ですが
ふと思いついたのが『陰』陽』とは陰陽道つながりの「十二天将」!
「十二天将」についてはこの辺に任せますスイマセン
wikiですwiki

で、ここで問題が
仏教方面の「十二神将」であれば
新薬師寺の十二神将像なんかでイメージ出来ますが

こちらの「十二天将」は
陰陽師が使う占術「六壬神課」で使用する象徴体系の一つで
ザックリ言っちゃうと
六壬天地盤の天盤上に配置される十二支

しかし十二支?あの動物達?うーん・・・となりまして
個々の天将名でググルと彫像が見つかったりする方も居られますが
画像イメージが見つからない方もちらほら・・・
という事は?
コレは?
好きにやっちゃってイイって事ですね !?
ニヤリ

ならば、こうじゃ!
と、早速下絵を作成
「十二天将」の構成メンバーは
「金色の蛇」とか「文官」とか「四神」等々・・・
ヒトや動物や神様が入り乱れて統一感が無さげなので
僕の考えた悪魔超人コンテスト@キン肉マン的に
全て擬人化する方向でまとめてみました
こんな「オレよがり」な下絵でも一発OKが出るという奇跡で
ありがてぇなぁ(涙)

鹿角指環を十二本彫るようなものだし
やりますよやりますよー!と安請け合いしたのですが
蓋を開けてみたらなんというロングラン(汗)
お待たせしすぎて申し訳なく
プロ失格感に押し潰されそうになりつつの数ヶ月間を過ごす事に・・・

何か前置きがタラタラと長くなりましたので
根付本体につきましては次の投稿へ
続く