『 雷槌 』
素材:鹿角、黒檀
九月も半ばだというのに暑い日が続きますね
記録的な猛暑日の日数に局地的な豪雨災害と
天気予報見る度に命にかかわる気象警報出まくりで
やってられんと悪態つきたいのは人間だけではないのでは
なんて思ったり…
至水妄想奇譚
「落雷ノ理」
「午後三時の天気予報です」
「函館地方気象台より渡島・檜山地方に雷注意報が発表されました」
「落雷に」
「注意してください」
瞬く間にドロドロと渦を巻く暗雲に覆われる函館上空
雲上ライブステージのセッティングは完了し
センターに設置された三巴紋を刻む巨大なドラムセット目掛け
遥か上空よりゆっくりと神鳴様が降臨すると
予報通り
イカヅチドラムソロライブの幕が上がった
ドム ドム ドム ドム ドム ドム ドム ドム
神鳴様が踏みしめるバスドラに
ドム ドム ドム ドム ドム ドム ドム ドム
いつの間に湧いて出たか
ライブに群がるオーディエンスは数万の雷槌小僧ども
ダム ダム ダム ダム ダム ダム ダム ダム
バスドラの打音に呼応するように一斉に足を踏み鳴らす
ダム ダム ダム ダム ダム ダム ダム ダム
ドムチッ ドムチッ ドム ドム ド ドム チッ
ハイハットが鳴る度に
ドムチッ ドムチッ ドムチ ドムチ チチチッ
真黒な雲のなかで静かに雷光がスパークする
ドムチッ ドムチッ ドムチ チチチチチチッ
ドドタンッ ドドタッ ドッドッドッ ドド タッタッ
ドラミングの手数が増えるに連れ
ドドタンッ ドドタッ ドッドッドッ ドド タッタッ
グルーヴに陶酔するオーディエンス達は
ドドタンッ ドドタッ ドドドドドドッ タッ タッ
其処此処でモッシュを始め
タムタム タッタム タッタッタッ タムタム
雲上は混沌たるトランス状態
タムタム タッタム タッ タタム タタタタッ
チチチチチチチチチチチチチ ッタッタ
雷光の明滅は激しさを増し
チチチチチチチチチチチチチ ッタッタ
夥しいイカヅチで飽和する雷雲に
チチチチチチチチチチチチチ ッタッタ
怒気を孕んだドラミングは加速を続け
ドドダンッ ドドダッ ドッドッドッ ドド タタ
遂ぞ怒り心頭に達した神鳴様が
ドドダンッ ドドダッ ドッドッドッ ドド タッ
憤怒の形相でシャウトする
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドッ カッ
"大雨警報っ?"
ドドタドドタドドタドドタドドタドドタドドタドドタ
"洪水警報っ?"
ドドタドドタドドタドドタドドタドドタドドタドドタ
"大雪警報っ?"
ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ
"暴風警報っ?"
ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ
"暴風雪警報ぅおっ?"
ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカ
"波浪警報ぅおあっ?"
ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカ
"高潮ぉっ?警っ報ぅ?だあぁっ?"
ドカドカドカドカ ドカカ ドカカカカカカッ
"なぁあぜぇ故ぇにぃいいいっ!!!"
ドカカドカカドカカドカカドカカドカカドカカドカカ
"雷はああああぁっ!!!"
ドカカドカカドカカドカカドカカドカカドカカドカカ
"注意報しかぁあああっ!!!"
ドカカドカカドカカドカカドカカドカカドカカドカカ
"ないんじゃぁあああああっ!!!"
ドカカドカカドカカドカカドカカドカカドカカドカカドカカドカカカッ
"ぬあああああああああああああああっ"
背負いドラムを打ち鳴らし
ジャンプ一閃モッシュの只中にダイブした神鳴様の大足は
クライマックスに狂乱するオーディエンス達を
ゴロゴロとイカヅチで満たされた雷雲のなかへ
踏み潰し 踏み潰し 踏み潰す 阿鼻叫喚の地獄絵図
雷雲のなかで雷に塗れた雷槌小僧どもは
勢い雲底を突き破り
次々と地上目掛け落雷した
ピカドドーンッ
ゴロピカッドドーン
ゴロゴロゴロピカピシャーンドドーンッ
バリバリバリバリバリドドドーンッ
ゴロピカピシャーンッドドドドドーンッ
ゴロピカッバリバリバリドドーンッ
ドドドドドドドドーンッ
ドドドドドーンッ
ドドーンッ
………………………………………
いつしか神鳴様の咆哮は止み
数万のオーディエンスは雷雲のなか消炭と化すか
はたまた落雷と成り跡形もなく消え失せた
こうして三時間にわたるイカヅチドラムソロライブの幕は下り
静まり返った雲上に終演のサイレンが鳴り響くなか
間髪入れず次回開催の告知アナウンスが流れる
"本日夕刻より東京都文京区上空雷雲アリーナにて開催が決定いたしました"
"イカヅチドラムソロライブツアー2023『神罰』in TOKYO"
"雷槌小僧の皆様には挙って御参加いただきますよう御願いいたします"
ハードスケジュールのケツカッチン続きに不貞腐れ
思わず舌打ちを漏らした神鳴様は
東京目指しゆっくりと空に舞い上がり虚空に消えた…
「午後六時の天気予報です」
「東京管区気象台より文京区及びその周辺を対象とした」
「雷注意報が発表されました」
「落雷に」
「注意」
「してください」
終
※作中に記された各名称は実在するものと一切関わりは無く
史実もまた異相な平行世界の物語です
という事でですね
異常気象の原因は人間の営みによって作り出されてしまっている訳ですが
それに振り回され忙しく稼働させられる神様達もきっとピリピリしている筈
なのに注意報止まりの扱いを受け続ける神鳴様の心中たるや…
そんな神鳴様の怒りを一身に受け止め落雷する雷槌小僧を
根付化です
六面図
四面は台座に乗せた状態です
今回自立しない根付にしてしまいましたので
落雷着弾台座を制作
飾っておくのならば此方にパイルダーオンさせる
という仕様です
" ひあぁぁあっあぁぁぁぁぁぁぁっ "
雷雲のなかで帯電しイカヅチと化す雷槌小僧
台座無しでこんな感じ
雷を纏って落雷中
イカヅチパターンを幾つか彫り分けてみました
「バリバリバリバリピシャーンッ」
なイカヅチのイメージ
「ゴロゴロゴロゴロピシャーンッドドーンッ」
なイカヅチのイメージ
雷槌小僧の左手小指が一本で独立しているのですが
これを折るためには3㎜くらいの棒状の硬いものを滑り込ませ突く
など意図的にやらんとアクセス出来ない場所にあるので
自分的には良しとしてリリースしましたが
まぁそういう破損リスクはゼロの方が安心出来て良いとは思います
最近は細さとか薄さとか透かすとか…諸々再考する日々です
今回はイカヅチパターンをブリッジにした紐通し
サイズはこんな感じで
今日もバリバリ体張って落雷してます
根付「雷槌」完成です
いやーでもホントなんで雷って
雷警報が無くて雷注意報なんだろうって
理由はググれば出て来るのですが
神鳴様にしてみればナメとんのかと
おそらく「警報」の肩書を奪取するまで
イカヅチドラムソロライブツアーはより過激になっていくのでしょう
ほぼほぼ強制的に動員される雷槌小僧にしてみればねぇ
たまったもんじゃないと思いますけども…
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