素材:鹿角、黒水牛角
ストレートに
ホントどストレートに
ベタな提灯お化けなんぞを彫りましょかと
色々調べていたら「首提灯」という落語を知りまして
べろんべろんに酔っぱらった一人の江戸っ子
品川遊郭へと通じる夜道で侍に道を聞かれます
その言葉に訛りがある事に気付き
ナメて粋がった江戸っ子は
罵詈雑言を浴びせたうえ紋服に痰を吐きかけてしまい
怒り心頭の侍に首を斬られてしまいます
侍はその場を立ち去りますが
あまりに鮮やかな居合切りであった為か
首と胴体は繋がっていないのに歩き出し
歩く度に首がズレるのでやっと切断された事に気付きます
オロオロしていると突き当たりが火事で大混乱中
たまたま知っている家だったので火事見舞いに駆けつけ
受付で自分の首を突き出し
「ヘイ、八五郎でございます」
という噺
で、この落語の元になったのが
安永3年(1774)に刊行された「軽口五色帋」の中にある
「盗人の頓智」という小ばなしだそうで
こちらは
忍び込んだ泥棒が家主の反撃で首を斬られるも気付かず
外へ逃げ出ると暗闇で
咄嗟に提灯代わりに首をかざすという・・・
ほぉ・・・
この辺りが
歌川国芳の「神谷伊右エ門 於岩のばうこん」とか
葛飾北斎の『百物語』にある提灯姿の「お岩さん」とか
果ては江戸以後の草双紙等で世に親しまれていく
所謂「提灯お化け」の元ネタなのではと
そんな一人腑に落としながら
火事を出した家で火事見舞いに頂いた首を
何の疑問も無く提灯として使い続けていたら
こんなんなっちゃったね八五郎の首提灯
そんなの彫りますよ
鹿角で
彫り上がったヤツにヤシャ液筆塗りしてここから磨きます
一度写真撮って画像で見てみると
ココがなぁ・・・
とか言う所が見えて来ちゃうものなので
修正したりとかしつつ磨いたりとかの繰り返し
四面図
上からと下からの写真撮り忘れです(汗)
今回は自立しないのですがスタンド付きません
真鍮線をガイドにして立たせて撮影しまして
大変お見苦しうごめんなさい(泣)
「(元)八五郎でございますっ」
破れ提灯の裂け目から火焔がぼぅぼぅと漏れ出ちゃってます
ほらちゃんと上顎にも歯牙が
怪獣解剖図鑑的に言えば「八五郎歯」でしょうね
紐の結び玉は口中にすっぽり収まる仕様です
破れと間違われ修繕されてしまった左目とか
色々とフォトジェニック♪
(画像クリックすると拡大画像が開く筈きっと多分)
元ネタ(違うかなー?)からして相当シュールな提灯お化け
根付「首提灯」完成です
ホント元々どストレートな提灯お化けを彫ろうと思ったのです
でもそれ切っ掛けに色々と新しく知れたりするのが面白くて
そんな落語に詳しい人ではないですけど
この「つながったー!」感が気持ち良き事で
大変気持ち良き♪
いやぁ
春だなぁ・・・
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