2017/07/29

ワンダーフェスティバル2017[夏]!!!




ハイ
今年もまたこのクッソ暑い夏
7月30日(日)は幕張メッセまで行きますよ!


ディーラー参戦でございます!
今年はGallery花影抄/根津の根付屋関係では
永島信也さん、道甫さん、守亜さん、KENTAROさん

他にも
高木喜峰さん&和地一風さんの根付師コンビが
ガレージキットを販売すべくディーラー初参戦を果たします!!!
(根付ではなくフィギュア売ります!)

という
今回は過去最大数の現代根付作家が
ディーラー参加するワンフェスなのです!

昨年のワンフェスを振り返れば
至水はフルサイズの根付「かまわぬ」一つしか持って行けなくて

よくよく考えてみたら昨年までは

「会場に会いに来てね♪」

なんて気軽に告知していたのですけど

実際幕張メッセまでの交通費とか
入場料支払ってまで来て頂いているのに
何も持ち帰れず(買えず)手ぶらで帰すのってどーなのさって

やっぱ思いまして

何かワンフェス向けに出来る事と考て・・・

至水的には其処が例えワンフェス会場であろうとも
売るのは「根付」であるというところだけは拘りたく


1・ワンオフである事
(キャスト複製ではない一点もの)

2・短期間で完成させられる事
(=低価格販売)

3・「根付」である事
(ストラップとかフィギュアではない)

この三点をなんとか実現させたく「やってみた」今回の根付は

「低温で焼成可能な陶粘土を使った一点ものの根付」

やはり彫刻よりも塑像の方が早く形を出せるのと
実際「陶根付」というものはある訳で
陶粘土がどれだけ実用に耐えうるかという実験でもありました

結果初めて触れた陶粘土はスカルピーの様な滑らかさは無く
細密造形には向かないのかなと言った印象

当初の目標「二日で一点完成」なんてとてもじゃないけど無理無理で
その分価格に跳ね返るという体たらくでごめんなさい(涙)

それでも何とか根付を二点完成させた所で時間切れ
結局今年も沢山根付を持って行く事叶いませんでした

「低価格な使える根付」の良い塩梅のとこ
今後も模索して行く事になりそうです

今回ワンフェスに投入する根付はと言えば

根付「泥田坊」
素材:陶粘土、鹿角、黒水牛角
価格 50,000円

根付「槌転」
素材:陶粘土、鹿角、赤珊瑚、黒檀
価格 40,000円

奇しくも二点とも土香る奴等になりましたね’(汗)

色々とチャレンジングな根付になってしまいましたが
何卒宜しくお願い致します

あ!
あともう一つ

糞王様も持って行きますんで
昨年のアートフェア行きそびれた方
御興味のある方至近距離で御覧頂けます
な、なんなら御購入して頂いてもよくってよ(涙)

それでは皆様
暑い暑い幕張メッセでお会いいたしましょう



2017/07/26

根付 其ノ百壱

『 飛頭蛮 』
素材 : 鹿角



前回の投稿で
記念すべき百作めの根付「びろーん」をリリースした至水

今回製作する根付は
二百作め達成に向け気持ちを新たに彫り始める第一歩

そんな百壱作めの根付は

「飛頭蛮」

・・・なんてマイナーなやつを(涙)



江戸時代中期に大坂の医師寺島良安によって編纂された
「和漢三才図会」
和漢の事象を天、人、地と三項目(三才)に分け図解説明した
105巻81冊にもなる図入りの百科事典です

その和漢三才図会に記された「飛頭蛮」とは

大闍婆国(現在のジャワ島)には頭を飛ばす者がいて
目には瞳が無く、現地では「虫落」「落民」と呼ばれる

と・・・

他にも「飛頭獠」なんて近似種もいたりして
首を飛ばす人の話は色々あるのですが
それぞれのオイシイキーワードをブレンドしてですね
捻り出たのが

「夜に首を飛ばすジャワ人」

そんなの彫りますよ♪





当初は分離飛行している飛頭蛮ヘッドの根付
という事で彫り進め完成させたのですが
「コレって体も彫って緒締にすれば飛頭蛮感増し増しじゃね?」
と思い立ち飛頭蛮ボディも製作開始





六面図
飛頭蛮ヘッドの根付と飛頭蛮ボディの緒締のセットです

と思わせておいてからーの

ヘッド × ボディ
連結して一つの根付としても使用可能なのだ!





結び玉を胡坐の中に収納する様に紐を通し
更にヘッド下部より紐を通し連結しますと・・・
これが
「昼の飛頭蛮」

ヘッド後頭部の結わえた髪の紐穴から紐を通し
結び玉は首の下方より収納
ボディは緒締として紐を通せば・・・
なんと
「夜の飛頭蛮」

勿論お好きな緒締にヘッド根付を合わせ
御使用して頂く事も可能ですわ♪





サイズはこんな
連結してもそんな巨大にはならないよ





首飛ばし中





プレイアビリティ超高ぇ♪
首嵌めたり飛ばしたりして遊んで頂きたいのっ!
根付「飛頭蛮」完成です



今回また久々に大好物のオサーン面が彫りたくて
顔面をフィーチャー出来る妖怪
という事で飛頭蛮を選んだのですが

解説文にあった
「大闍婆国(現在のジャワ島)の人」
という一節から
不意に「ワヤン・クリ」を思い出しまして・・・

「ワヤン・クリ」はインドネシアのジャワ島やバリ島に伝わる
革製の人形を使った伝統的影絵芝居ですが

その人形の特徴的な横顔
頭部から額そして鼻先へ段差無く繋がる顔面のフォルム
「飛頭蛮のお顔はこれしかねぇっ♪」
と、オークションで探しましたよ
「ワヤン人形図鑑」
絶版本(涙)
イイお顔ですよね♪

という事で
「至水の飛頭蛮根付お顔の元ネタはワヤン人形」
というお話で
今回は締め括らせて頂きます♪

さて次は

7月末のワンフェスに持ってくヤツの件だよ!

今年の夏は暑ぃねぇ・・・



2017/07/18

根付 其ノ百

『 びろーん 』
素材 : 鹿角、黒檀



さて
前回の根付「火車」の投稿で予告した通り

今回の作品はブログ「悪魔ノ天秤」内の「根付」カテゴリ記事に於いて
「其ノ百」のナンバリングを与えられる記念すべき根付であると

と言うか彫り終わってから
「あ、コレって「其ノ百」じゃん」
って気付いてしまうという

気付いていたらもっとこうドーンと
百作記念!!!
みたいなの彫ってたかとも思うのですが

うん

びろーん であると

そりゃぁ
胡散臭かろうと

まぁ

実に至水っぽいじゃないですか

という事でこんなん彫りましたよ(涙)





六面図

差し根付です
根付の形態には、形彫り、饅頭、鑑蓋、柳左、等々
色々なバリエーションがありますが
差し根付は正に鹿角のために存在するような形態ですよね





もうーなんて情けない顔してんのキミは(賛辞)





サイズ的にはこんなです
差し根付なので長いのだ





びろ・びろ・びろーん





紐を通すにはちょっと華奢な足周りですが
プリティな内股にしたかったんです許して(涙)





なので「紐通しは帯上で」を推奨しますです

画像左側
腕の間の透かし裏側からループにした紐を出し
もう一方の紐の端をループに潜らせてしまう

画像右側
腕の間の透かし裏側からループにした紐を出し
そのまま頭に掛けてしまう

どちらも「捕らわれた妖怪びろーん」を再現可能です





実際差すとこんなです
装着モデルは至水ですが
ベルトに腹肉乗ってんぞ!
(因みに至水は普段シャツをズボンにINしない人です)





塩かけないで溶けちゃうの(涙)
根付「びろーん」完成です



ここで びろーん と至水の馴れ初めを

思い返せば3歳の頃
至水が通っていた保育園の蔵書のなかでも特に大好物で
母の迎えを待ちつつ何度も何度も読み返していた
三大ジャガーバックス

『SF宇宙怪物図鑑』
『いちばんくわしい世界妖怪図鑑』
そして
『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』
復刻版買っちゃいました(涙)

そうです
至水はこの本で びろーん とのファーストコンタクトを果たしたのです

室町~江戸時代に描かれた妖怪画から
映画や漫画に登場した妖怪までを
どっさり集めてぎゅうぎゅうに詰め込み
今では民間伝承や古書を紐解き研究され学問化していく「妖怪」について
あまりにもゆっるーいアプローチで編纂された
「いちばんくわしい」
と冠された日本妖怪図鑑

そのなかでも びろーん は現在
著者である佐藤有文氏の創作であるとの見解が大勢を占める
胡散臭さ漂わしまくっている妖怪なのですね

解説文をまるっと引用させて頂くと

この妖怪は、またの名を<ぬりぼとけ>ともいう。
「びろ・びろ・びろーん」という呪文をとなえて、
ほとけさまに化けようとしたところ失敗してこのような姿になったのだ。
全身がコンニャクのように、ぶよぶよしていて、
そのしっぽで人の顔や首をなでる。
塩をかけると、消えていなくなる。

なんてファンタジー・・・
いや、えっ?ぬりぼとけなの?

もう最高に胡散臭いじゃないですか♪

だがしかし根付という観点から見ればですよ

根付がお好きな方なら必ずお手元に一冊はある筈な
角川ソフィア文庫
駒田 牧子 (著)  渡邊 正憲 (監修)
「根付 NETSUKE ジャパノロジー・コレクション 」
税込み¥994
ステマステマ♪リンクは貼らないよ
そちらの147ページをご覧ください

ロサンゼルス・カウンティ美術館蔵の
びろーん の根付が紹介されているのです

しかも作者は
現代根付界屈指のレジェンダリーな根付師
中村雅俊先生なのだ!

という事は?

びろーんは由緒正しい根付の意匠なのであると

そう勝手に断言し胸を張り
至水のびろーんをお届けいたしましたのです♪

しかし雅俊先生が びろーん を彫るに至る経緯って・・・

びろーん が著者である佐藤有文氏の創作で
初出が『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』であるとするならば・・・

雅俊先生もこの本を読んで・・・いたの?
なんて
妖怪図鑑に釘付けな雅俊先生の御姿想像してみて

最高にかわいい♪

さて百作目の根付を仕上げた至水ですが

次は弐百作目の根付完成を目指して地道に着実に一歩ずつ
精力的にゴリッゴリの奴等をバッカスカ彫って行きますよと

肝に命じがむばります!