2015/07/21

根付 其ノ陸拾漆

百々目鬼
素材 :鹿角、黒檀

「月刊美術」8月号中特集の誌上販売企画
への出品オファーを受けたは良いものの
送られて来た「現代もののけ考(仮)」と題された企画書を読んで
最初にGalleryから聞いていた内容とやや違うなと・・・

所謂「妖怪」をそのまま立体にするのではなく
現代の作家がどう「もののけ」を解釈しアレンジするかという
コンセプチュアルな企画

まぁ
あれです
いつも至水がやってるヤツ

駆け抜けろ妄想 こじつけろ俺設定

ですね(笑)

ただ製作期間が短いので
以前モックだけ製作し頓挫していた
「男版百々目鬼」のコンセプトを流用
更に現代風にアレンジして
途中で追加製作する事になった
揃いの緒締の意匠を「百々目鬼」に紐付ける設定の構築と
「妖怪」という言葉の再考再定義化も絡め
今回の企画に落とし込みます

で妄想したのがこんなの

人をたぶらかし人目を盗み窃盗を繰り返す者は得を失い続け 
終ぞこの世とあの世の狭間を漂う妖怪「百々目」に目をつけられます 
「百々目」に見入られた者は「人目に触れざる面はいらぬ」と顔を奪われ 
「盗み遂せし人目や何所ぞ」と囁かれるや否や 
腕に夥しい数の人の目が開き 
今まで盗み続けた人目に晒され 
異形の「百々目鬼」と成り果てるのです 

妖怪「百々目」によって引き起こされたこれらの怪異を「百々目く」と言い
人外の姿に変容した者を「百々目鬼」と呼ぶのだとか・・・ 

「妖怪」の「妖」という文字には
「なまめかしい。あやしい。人をたぶらかす。不吉な。」という意味があり 
「怪」という文字には 
「異常なできごと。怪異。」という意味があります 

「妖」+「怪」=「妖怪」とは「人をたぶらかす者に起きる怪異である」 
と再定義してみれば 

「百々目鬼」とは「腕に目が沢山ある元女スリの妖怪」の名ではなく 
人をたぶらかす悪行を働いた者全てに起き得る現象「怪異」なのだ! 
故に石燕の時代から現代に至るまで
無数の百々目鬼がいてもいいのでは? 
もちろん男であっても・・・ 

という俺設定です。

では何故「百々目鬼」に変容するのか?
実は怪異を引き起こす主は所謂「もののけ」としての「妖怪」である
妖怪「百々目」であったというもう半捻り乗っけた話を考え
揃いの緒締にしました

で彫り始め


鹿角です
粗彫り~彫りあがり


背面に出ている髄を利用して
百々目鬼が着ているパーカーの柄をフレイムスカルに!


六面図
石燕の描く「百々目鬼」は手ぬぐいを被り顔が見えません
というか隙間から見える内側には顔が描かれていない様に見えます
これを現代風なパーカー+ハーフパンツ+スニーカー姿に置き換え
目深に被ったパーカーのフードの中は空洞
「百々目に顔を奪われた」としています
根付の造形としてはこのフードの空洞を紐穴に利用出来ると考えました


目玉27個・・・
暫く象嵌から遠ざかりたくなりましたね(汗)


パーカー背面に施されたフレイムスカル柄の刺繍が
百々目の妖力でウネウネ動き出し・・・
スカルの右眼窩孔が紐穴になっています


百々目に見入られると・・・
ひぃぃぃぃぃぃっ 

腕がウズウズするので袖を捲くってみたら・・・
ひぃぃぃぃぃぃっ

サイズはこのくらい
ころころしてます


「妖怪」とは「現象」である・・・
根付「百々目鬼」完成です

次は揃いの緒締
「もののけ」としての「妖怪」
「百々目」に続きます


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