2015/03/14

根付 其ノ伍拾玖

『達魔地獄変』
素材 :鹿角、黒檀

御注文品「玄武」の下絵をGalleryへ送り
お客様の確認待ち中で色々彫っている至水ですが

定期的に訪れる
根付を紅く染めたい欲求に抗えず
よし達魔彫ろかと
暫くカワイゲな意匠が続いていた白至水ですので
プリティな達磨さんを彫ろうとした矢先
内に抑圧されていた暗黒面に堕ちた黒死水が
精神の深淵の淀みから頭を擡げ
遂に至水の自我を略奪せしめ彫りあがってしまったのが
はいコチラ
絶対創造主の命により 
煉獄の業火より紡がれし紅蓮の法衣を身に纏い
如何なる邪鬼、悪魔、あまつさえ神をも滅殺せしめる聖器
†ArchHossu† を携え現世に転生した付喪神・・・
達魔

これは昨年製作した緒締「達魔」から続く物語

顔の右半分は張子のまま
人目を避け街を彷徨う付喪神達魔が
貿易商を営む父と一緒に日本に来て数ヶ月の
異国の少女と出会います

彼女の話し相手は古いビスクドールだけ
知り合いは誰もいません
ビスクドールと楽しそうに語り合う少女を見ていた達魔は
あの陶人形は彼女の家で何世代も前から
たいそう大切にされてきたのだなと分かります
ビスクドールから放たれ彼女を包み込んでいる
優しい付喪気を感じたから

ふと視線を感じ達魔に気付いた少女は思わず話しかけました
「ダルマサン ワタシト コノコノ オトモダチニ ナテクレマスカ」

初めてヒトの暖かさに触れた達魔は笑顔で大きく頷き
自分で描き込んだ右目が涙で消えそうになり慌てました


まずい、長くなりすぎるので
ザックリあらすじに変更

楽しい数日を過ごしていた達魔と少女とビスクドールであったが
動くダルマをポルターガイスト現象と理解する大人に
悪魔祓いを依頼された神父によって
ツクモガミの概念の無い西洋思想な地獄に送られるが
異概念の混入により天国と地獄と現世の均衡が崩れ
地獄界の悪鬼に堕天した神までもが現世に滲み出てしまう事態に!
こりゃまずいと事の沈静化を案じた絶対創造主が出した答えが
滲み出た悪鬼堕天使を完全滅殺する業と引き換えに
達魔を現世に逆送転生させる・・・であった

そんなお話です(汗)


やっとココから
お待たせの本題根付記事ですよ

鹿角です


六面図


絶対創造主より下賜されし聖器†ArchHossu†(聖払子)は
女神アルテミスの頭髪で仕立てた房と
神殺しの鎌から取り分けたアダマス製の柄で出来ているのダ!


ヤシャで煮染め
酢酸鉄液で黒化
赤くしたい部位の染めを落とす
インド茜で煮染め
肌色にしたい部位の染めを落とす
ヤシャで煮染め

の順で染めてます


残した鹿角の皮目の辺りにポポット火焔を配置


屠られ踏みつけられる悪鬼
鬼、ではない異界の輩
西洋テイストな尾が見えますか?
銘は久々に「死水」です


オレは付喪神達魔!
悪魔も天使も関係ねい!!
あっちから来た奴ぁ一っ括りで滅殺ダ!!!


サイズはこんなです


ヒトの優しさに報いる為に
それがほんの一握りの存在であっても構わない
今日も付喪神達魔は闘うのダ!
根付「達魔地獄変」完成です


さて
色々と中二病的妄想ストーリーを書き連ねてきましたが
そんなん全くキレイに忘れて
自分なりの妄想に想いを巡らせて頂ければと思うのです
一つの根付に手にした人それぞれの物語があってもいいじゃないですか?
それも根付の楽しみの一つですよねー


今回製作中のBGMは"BABY METAL"をヘビロテさせていた至水でした
・・・通りで



2015/03/07

Death March



久々の告知投稿です


至水製作の根付や諸々を取り扱いして頂いている

今年の年間イベントスケジュールが更新されました

ん?


2015/6月13日(土)〜21日(日)の日程で
至水・加賀美光訓 二人展・・・・・


そうです
一年半ぶりのイベント参加なので御座います!

2013年11月に参加させて頂いた根付作家五名によるグループ展

根付三点と緒締一点を製作した訳ですが

今回は二人展ですので

根付を五点と小物を幾つか・・・(汗)

ま、間に合うんですか?


いや間に合わせねばならぬのです!


イベント開催前に改めて告知させて頂きます

先ずは御報告まで


さぁ二人展まであと三ヶ月!

気合入れて
彫って行こーぜ
Death March !!!
こちらは今製作真最中の「達魔地獄変」
二人展出品作品ではないのですー(涙)


2015/03/02

根付 其ノ伍拾捌

『龍亀』
素材 :鹿角、黒檀


前回彫った春猫の後
御注文品の玄武の意匠を頭の中でこねくりまわしつつ
至水の手は龍亀を彫っていたのでした

まぁ

玄武の鱗の練習という理由にならないでもない

そんなロングイ
行ってみましょう


鹿角です

御覧の様に
この段階では鹿角の根元に残っている獣毛を利用した
「蓑龍亀」だったのです・・・が


六面図
おや?蓑は?


ハイ
蓑、脱いじゃってますね・・・春だから(涙)
いや色々あるのですよ


濃いぃ染めで渋めに仕上げてます


今回は水中を漂う龍亀な意匠の為
根付単体では自立しません・・・

そのままだと写真も撮り辛いしなぁ
という事でスタンドを彫ります
湖底に聳え立つ沈木風の根付飾台


紐穴で乗っかる感じでセット出来ます


沈木の根元にはサレコウベ・・・
雨乞いで捧げられた人柱なのでしょう
(という裏設定付き)

龍亀と同縮尺なので
比較すると「龍亀でかっ!」と感じて頂けるかなと


根付としてのサイズはこのくらいです


亀、龍に成らんと欲し万年の時を数えけり
根付「龍亀」完成です


蓑付きのはまた今度