2022/07/13

根付 其ノ佰陸拾漆

『 白うかり 』
素材:鹿角、真鍮、黒水牛角



其々に名前が添えられた妖怪の姿が
まるで図鑑のように一妖ずつ描かれている松井文庫版「百鬼夜行絵巻」
wiki によりますとその冒頭には行灯を取り囲む人々が描かれているそうで

これってもしかして

丑三つ時
行灯の灯りを囲んだ人々が絵巻から一人一妖を其々選び
妖怪話を創作して聞かせ合う

というゲームブック「百鬼夜行絵巻」のチュートリアル
として描かれているんじゃないの?
とテンション爆上がり!

それならばと

至水は白うかりをチョイスして
チュートリアルに従い創作百鬼夜行絵巻夜話と共に
白うかりを根付化です





至水妄想奇譚

百鬼夜行絵巻夜話 其ノ一

「Ukkari beach in 2022 summer」

某都立高校に通う二人のJK
白井ユカリ と 乙路シオリ
「感染症対策です!」と真面目に自粛を続け
中3高1と二度も棒に振った夏の青春を今年こそは満喫する
そう誓い新調した真白なビキニは
海開きに間に合わせるべく
チーフに無理言ってバイトのシフトを倍にしてもらい
突貫貯金で購入した Sa-Recovwe 2022年夏の新作だ

下北沢駅南口前

     ユカリ「ごめんっ!」

     シオリ「ちょっとーどんだけ遅刻してんのよー」

     ユカリ「家出る時玄関にスマホ忘れて取りに戻ったw」

     シオリ「ずっと着拒だしさーLINEくらい返せんじゃん」
        「もー何してんのよー」

     ユカリ「うっかり八兵衛です」

     シオリ「何それーwww」

     ユカリ「水戸こーもん知らないのー?」

     シオリ「知らんしーウケる―www」

     ユカリ「いや」

「実はさ…」

一週間前

夜入浴中
週末に敢行する江の島海水浴場日帰りJK二人旅に備え
自粛期間中は御座なりにしていたムダ毛処理は念入りにと
脛を剃り終え次は脇
バスミラーに向かい肘を上げ
湯気の曇りを拭うと何やら隅に消えない靄が残る

良く見るとそれは湯気の曇りではなく
脇越しに映り込んだ白い…人影?

とっさに振り向くが何もなく
何だ気のせいかとシェーバーを置きシャワーを浴びてバスルームを出た

翌日

夜入浴中
今年の夏は入浴時のムダ毛処理をルーティーン化します!と意気込んで
今日もまた脛を剃り終え次は脇
バスミラーの曇りを拭い肘を上げると其処には未処理の剛毛
そうだ結局昨日は剃らずじまいだったのかと気付かされると同時に
昨日同様隅に残る消えない靄が

いやそれはやはり靄ではなく脇越しに写り込んだ白い…人影?
良く見るとそれは明らかに人影で

動いた

すぐさま振り向くが何もなく
やはり気のせいかとシェーバーを置きシャワーを浴びてバスルームを出た

バスミラーに写り込む白い人影現象は週末まで続いたが
深く考えないのがユカリの良い所

遂に江の島海水浴場日帰りJK二人旅当日の朝
出かける準備は万端で
家からビーサンつっかけて行くもんねと気合いれ
さあ最終チェックと玄関の姿見に向くと肩越しに映る白い人影?

いや

人ではない

頭頂部に突起を残し水平に削ぎ落されたような頭
赤らんだ目元いっぱいに見開かれた鈍く光る黄金の目
鼠のような髭と口角から漏れる牙…

白い異形の姿がはっきりと見え
目が合った

さすがに悪寒が全身を巡り手にしたスマホを落としてしまい
振り向けば何かとんでもない事が起きる気がして目を逸らせない
すると白い何かは にこり と口角を上げ すっ と消えた

いってきまーす!

咄嗟に全て忘れる勢いの大声で家を飛び出し最寄り駅
スマホが無い事に気付いたのは改札前で
いやだなーこわいなー
と、それでも急ぎ家に戻る事に

家に着き恐る恐る玄関のドアをそーっと開けると
やはり落としたスマホが見えた

ドアの隙間手を伸ばし
拾った瞬間再びダッシュで駅へと向かい
電車に飛び乗ったが既に予定より40分遅れで
這う這うの体で下北沢駅に着き
待ち合わせ場所の南口前にある…

ユカリ「…こいぬの木が見えてホッとしたのホントごめんねー」

江の島までの道すがら延々と聞かされた
この一週間に起きた「怪奇白いバケモノの恐怖」は
ビーチの貸更衣室で漸く終劇を迎えた

シオリは遅刻の言い訳にしては盛りすぎだと呆れ顔で聞き流し
水着に着替えた二人がビーチに飛び出すと
ギラギラと照りつける太陽光に思わず

きーもちいーねー♪

と両手を広げ伸びをしたユカリの脇にサラサラと潮風にそよぐ剛毛

剛毛っ?

脳内にこの一週間続いたバスルームの出来事が高速でフラッシュバックする

ユカリ「ヤッバ…結局ワキ…処理してなかったん?…だ」

ゆっくりと両腕を下ろすユカリの頬に汗が伝う
太陽が熱いからではない
冷や汗である

シオリ「このあとどーすんのよコレうっかり八兵衛ぇ…」

バイブス爆下がりな二人の後方少し離れたビーチパラソルの下で
両脇から顔をのぞかせる茜色の剛毛を靡かせながら
白うかりは静かな笑顔でユカリの夏を見守っていた








自粛自粛のコロナ禍に奪われた青春を取り戻そうと魂燃やすJKの物語ですよ

で白うかりって何なのよ?目的は?って言われても

「そうしたかったから」

なのかなぁ…

それが妖怪なのではないのかなっ

では白うかり彫りますね





六面図
細マッチョにしちゃったよね





両脇から顔をのぞかせる茜色の剛毛を靡かせながらサラサラ~





あーバックショットカッコいい
関節曲がってはいけない方に曲がってるけど
脱臼じゃないと思う





くわーっ
頭頂部の突起でツボ押し出来ます実用的!
物語の終盤ビーチパラソルの下にいたのは
白い肌を日に焼きたくなかったかららしい





今回全然自立しないので
というか端から自立させる気が無かったので台座も製作

台座にある支持突起を
頭に近い方の紐穴に嵌めるようにすると
根付で使用した際の正位置を取る
根付ポジション

足に近い方の紐穴に嵌めるようにすると
提げで使用した際の見え方
提げポジション
で二通りの設置が出来ます





至水は紐穴に根付紐の結玉がすっぽり収まる仕様が好きなのだけど
色々考え水平二連同径紐穴解禁
これはこれでまた良いなと思いました
印籠サイズの小ぶりな提物向けです





こんな感じで提げとしてもいけます





根付袋は妖怪札の白地バージョンを縫い縫い





サイズはこんな感じで小ぶり





コロナ禍に翻弄されたJK達をそっと見守る
根付「白うかり」完成です

「百鬼夜行絵巻」はゲームブック
って考えると
描かれている順番に割り当てられた妖怪話をしていったり
回り順番に好きな妖怪、話を作りやすそうな妖怪とか好みで選んで
えー「あすこここ」しか残ってねーじゃーん!とか
色んなローカルルールがあったんじゃね?とかとか
もうワクワクが止まらなくなったので

このフォーマットで松井文庫版「百鬼夜行絵巻」を根付化したい

百鬼夜行絵巻夜話はシリーズ化決定です
もう其ノ一って書いちゃってるし

皆も「百鬼夜行絵巻」で妖怪百物語やってみて!

最期に灯りを吹き消して

何かが見えたら…



にがわらい



2022/07/11

緒締 其ノ弐拾捌

『 紅いの 』
素材 : 鹿角、真鍮、黒水牛角



2022年夏のグループ展「勿怪の幸い」第三集出展作品其の二

それは京都の大徳寺真珠庵が所有する絵巻に初登場した後
数々の絵師が描いてきた所謂「百鬼夜行絵巻」のなかに
当たり前に現れるあの赤くてぶよっとした一つ目のアイツ

姿形が近似な「大化」や「ちからここ」は至水的には別物だし
後に荒俣宏氏に「蟇怪」と記載されるも便宜的な命名で
やはり赤いアイツは今でも名も無き「赤いやつ」…

赤いやつの元絵を見ていると
腹の下からちょろっと伸びてるこの触手?
「あれって超発達した感覚器官なのでは?」
などといつもの妄想が加速してしまい…



至水妄想奇譚

「ウロボロス進化論」

生命の危機を回避するために発動した特定の進化が原因となり
その危機を誘引する身体的要因の改善が阻害される負のループに陥った場合
補完するもう一つの進化が加わる事で
その身体的要因を保持または増大させながらも
生命の危機をゼロリスクにまで到達させる
加速度的な進化のサイクルが完成した状態をウロボロスと呼ぶ

否が応にも目を引いてしまう紅い大きなブヨブヨした躰に対し
あまりにも貧弱な前肢しか持たない「赤いやつ」は
絶望的に緩慢な動作故に降りかかる生命の危機を
超早期に察知するための感覚器官を著しく発達させる
という進化形態を獲得した

半径1㎞範囲を見通す大きな単眼は結像補正を含めた有効視野角360度を誇り
時にはXレイヴィジョンがパッシブに発動可能
加えて優れた視覚感知を過剰に補強するとされる腹孔から萌出した神経鞭は
空気の振動を聴覚信号に、大気中の浮遊分子を嗅覚信号に其々置換し
半径3㎞範囲の地の振動を拾い、100c㎥単位の大気温変化を把握可能
索敵に関して微塵の隙も無い進化を遂げているのだ

しかし実際には
最大半径3㎞範囲に発現した危機を超早期に察知し
即座に回避行動を開始したところで
その絶望的に緩慢な動作故に回避間に合わず
余りある危機察知能力は意味を失い
確実に大槌の一撃をくらう事となる…
のだが
高衝撃吸収性と高反発性を兼ね備えた弾力のある体組織は
あらゆる外的ダメージを雲散霧消させる効果を持ち
ソフトシェルタイプのスーパーアーマーとして機能するため
生命の危機どころか掠り傷一つ負うことはなく
やはり赤いやつは究極にアンブレイカブルな進化を遂げた妖怪
と言えるのではないだろうか

 1・貧弱な前肢しか持たず絶望的に動作が緩慢故に常在する生命の危機
   (進化発動因子)
 2・危機を早期に察知すべく感覚器官の発達が進む
   (進化 α 誘引)
 3・結果貧弱な前肢の発達が遅れる
   (前肢の進化獲得順位下降)
 4・感覚器官の発達速度を補うべくスーパーアーマーの発達が進む
   (進化 β 誘引)
 5・結果貧弱な前肢の発達が更に遅れる
   (進化発動因子の増大)
 6・2に戻る
   (進化の加速度変数を乗算)


なるほど

正に「赤いやつ」はウロボロス進化論を体現した妖怪なのだ







はい
腹の下のちょろっとしたアレだけで妄想が過ぎます
そんな進化論無いですしね
けしからんですね

では「赤いやつ」彫りますね





六面図





ぽよん♪
基本緒締なので元絵よりも縦方向に厚みが欲しくて
しゃちほこらせてしまいました





これこれ腹の下からちょろっと伸びてるやつ
妄想の元凶





茜の染め色は大好物
赤いやつ、赤、というか紅
なので作題は「紅いの」に





提げにも出来る緒締として製作したので
提げ紐のループに根付紐で結玉付けて
底面の収納スペースに収めると
こんな感じに





今回緒締だし小っさいしで袋付けるか迷ったんだけど
結局簡易版を縫い縫い





ウロボロスでアンブレイカブル!
緒締「紅いの」完成です

今回のグループ展「勿怪の幸い」第三集は
1作家につき根付1点と提げ1点という出展枠制限があり
これはつまりフルスペックな根付はどうしても高額になるため
もう一つはお手に取って頂きやすい価格帯の小物をという振り分けで
それならばと
白いままで良いから染めの工程無くせるしと
「白うかり」の提げを彫り始めたのですが
彫り進めるうちにどんどん手を掛けちゃって
結局染めたし根付にしたし
とても提げ的な低価格での販売は無理なものになってしまい
あー至水は素人だねぇ…
急遽もう一つ
ちゃんと価格を抑えられるものを用意せねばと考えていると
不意に脳内で「勿怪の幸い」第三集での至水の裏テーマが光り輝き発現し
よしアレで行ける!
と彫り始めたのがこの赤いやつ

根付「魔ガ刺ス」は誰も知らない至水が創作した名も無き物の怪で
緒締「紅いの」は妖怪LOVERなら誰もが知ってる名も無き物の怪…

そうです
今回の「勿怪の幸い 」第三集
至水の裏テーマは「名も無き物の怪」だったのです

で、白うかりは?

勿論Galleryの販売ページに並びます

至水の根付彫刻は年中「勿怪の幸い」みたいなものですからね



2022/07/10

根付 其ノ佰陸拾陸

『 魔ガ刺ス』
素材:鹿角、黒水牛角



それでは早速至水の2022年夏のグループ展出展作品公開始めます
テキスト長いんで前置き短く

行ってみよー





至水妄想奇譚

「金糸雀ハ鳴キ止マズ」

人類の発現時より大気中に休眠状態で浮遊する「魔」と呼ばれる存在は
無味無臭の不可視体故に通常の人間には感知出来ず
仮に接触してしまったならば
どれだけ善良な人間であっても心を邪気に支配され
須らく悪行を成す事となる
この現象は「魔が刺す」と形容され
濃淡はあるにせよ一般には不問霊障と位置付けられているが
魔が信心深く得の高い清らかな人間と接触した場合
瞬時に休眠を解き受肉を目的とした能動的接触を試みる
これは最上位霊障に位置付けられた特務僧兵対応事案となる

1783.08.13 14:06

日ノ本に於ける霊象の全てを監視する
その責務を全うするべく
倫辠宗京都大本山冥深寺が創設した遠隔霊象感知衆「天眼」

所属する最高位霊象走査班「五猿」は
蝦夷地松前藩内の極所に爆発的な霊圧増大事象を観測

遠隔走査ではあり得ない膨大な霊波流入に耐えきれず
五猿の構成員「不視」「不聴」「不嗅」「不触」の4名が殉職

残る1名「不喋」もまた重度の精神侵蝕により意識混濁
全身不随に至るも
限界発動された自動書記により判明した霊象特異点の情報は
すぐさま松前藩領地対策寺院である鳳道寺へ念話共有され
即時対応を求められた統括高僧 宝誌和尚は
特務規定により20名から成る斥候班を編制し現地へ向かわせた

1783.08.14 14:59

霊象の発現地とされるその村は人の気配無く
夏のうだるような暑さのなか重く淀んだ邪気に満ちていた

斥候班のリーダーに任命された特務僧兵主任僧長「長我部」は
五猿が吸い上げた現地残留思念の解析情報を脳内で繰り返し反芻していた

一昨日、村外れの小さな集落に有る古寺で執り行われた村の長の葬儀終盤
和尚が説法を始めたのを皮切りに
参加した村人達が一斉に殺し合いを始めたらしい

所謂「魔が刺す」というやつだ

しかし余程邪な精神状態でない限り
殺人欲求の発露に至る事など無いものだが

しかも50人もの人間が

同時に?…

霊障の連鎖が爆発的な霊象として五猿に感知されたのだろうか
全ては特異点に辿り着けば明らかになる筈だ

村に侵入した斥候班はツーマンセルの10チームに別れ
其々が霊圧の低い地点を探りつつ
浄化ブイを設置しながら特異点である古寺へ通じるルートを作成する

これが特に霊的感受性の高い僧兵ばかりを選出し編制された
斥候班「金糸雀」の責務であり
十数日後には到着するであろう大本山の霊象封殺班本体が
可能な限り精神侵食を免れ特異点に到達するための捨て駒なのだ

1783.08.14 18:00

徳の高い僧兵は恰好の受肉素材である

大気中に溢れる夥しい数の魔による絶え間ない精神侵蝕に抗い
息も絶え絶えな長我部は
特異点まであと10m足らずの地点まで辿り着くも
自分とバディを組ませた最年少の特務僧兵「禊谷」以外の
斥候班メンバーの気配を一時程前から全く感知出来ておらず
この状況
皆既に魔の贄と成り果てたのだろうと漸く理解出来た

不意に芽生えた恐怖に信心が揺らぎ
自らの精神に綻びを感じた長我部は

「僧兵行動規定第一条第一項…解るな?」

と禊谷に問い介錯を委ねた

「魔に刺されし者は受肉に至る間に速やかに斬首すべし」

事も無く諳んじる禊谷を凝視する長我部は
今更ながらその違和感に気付いた

禊谷から感知出来る精神の波は穏やかに凪ぎ
息一つ乱していない…

「禊谷お前」

次の瞬間
致命的な魔の精神侵蝕を許した長我部の額が正中に割れ
受肉した魔が歓喜の産声を上げ…ると同時に
喉元に触れた禊谷の独鈷杵が
長我部の側を脱ぎきらぬままの魔の首を斬り落とした

「てめぇっ!これっぽっちの信心も無ぇただの人間がっ!」
「なんで法具をっ!なんで俺の首掻っ切るっ!」

禊谷は喚き散らす崩壊間際の魔の生首を一瞥し
慣れた手つきで独鈷杵に付着した血を払いながら

「あぁ、これね、僕は元々ここの宗派の堂衆じゃないんだ」
「色々あってさ…」

と独り言のように答えると
崩れ出した魔の耳元に顔を近付け小声で囁いた

「あとさ、僕の事感知出来なかったでしょう?」

確かに受肉を狙い精神侵食を仕掛けるまで
魔の知覚野には長我部しか捕捉出来ていなかった

「君等は人間の信心にしか食指が動かないんだよね?」
「だって僕、神も仏も信じちゃいないんだもの、信心なんてないんだよ」

「だから徳の高い僧兵に混じってるとさ…」

「見えないんだよね?僕の事」

受肉体消滅の断末魔を聞きながら
二ヤリと背を向けると視線の先には本堂からどろどろと這い出す腐肉塊

それは爆発的な霊障の連鎖を引き起こさせた元凶
村の住職を贄に受肉した禍々しく凶大な魔の姿である

「さてと、こんなのサクッと屠っちゃって」
「僕を牢から出してくれた宝誌和尚のためにいっぱい功徳を積まなきゃね」

数々の破戒を重ね深権衆大本山を破門のうえ
魑魅魍魎が跋扈する和人未踏の蝦夷地故に
松前藩が管理し続けざるを得ない鬼岩牢へ幽閉される身となった過去を持つ
一級の霊象封殺僧兵
「禊谷戒真」
精神侵蝕皆無である今正に魔殺神と化していた

1783.08.14 18:20

日ノ本に於ける霊象の全てを監視する責務を継続すべく
壊滅した五猿から急遽遠隔霊象感知任務を引き継ぐ事となった
霊象走査僧兵「千里眼」は着任早々
蝦夷地で発現した霊象特異点の消失を観測した…



終劇



※作中に記された宗派、寺社名、地名は実在するものと一切関わりは無く
史実もまた異相な平行世界の物語です






長い!

長いねー長文まいったね

はい

という事で

これだけ書いたストーリーで根付化するのは
魔殺神と化した主人公一級の霊象封殺僧兵「禊谷戒真」
ではなく
最悪な霊象を引き起こした大ボス魔
でもなく

僧兵行動規定第一条第一項
「魔に刺されし者は受肉に至る間に速やかに斬首すべし」
宝誌和尚立像をモチーフに
「長我部を贄に受肉した魔の斬り落とされた生首」
として根付化します

名も無き物の怪

モブキャラです





鹿角で生首





六面図





やはり「煽ると大体カッコ良くなる理論」は間違いない





瞳孔開ききった長我部の側
悲し気





禊谷を感知出来なかった事に気付きハッとする魔





僧兵な長我部のスキンヘッヅ





紐穴大の奥に銘パーツを嵌め
これで大きな髄孔を埋めてます





根付紐の結玉はいつもの通り
すっぽり呑み込まれる仕様





サイズはこんな感じ





根付袋は「勿怪の幸い」に合わせて妖怪札柄





主人公に瞬殺される名も無きモブキャラ
根付「魔ガ刺ス」完成です

今回とにかく大きく顔面彫りたいなってとこから始まって
彫りながら色々設定積み上がって行く流れなんだけど
根付作品には直接関係ない
中二臭溢れて滾りまくる設定とかいっぱいあって

五猿メンバーや千里眼のバックグラウンドとか
禊谷が深権衆系の寺に拾われた幼少期の諸々とか
宝誌和尚の意図とか
鬼岩牢とは何かとかとか

長すぎるので端折りますけど
物語を妄想するのはやはり楽しい



さて今回の「勿怪の幸い」第三集は
1作家につき根付1点と提げ1点
という出展枠制限がありまして

次はもう一つの出展作
紅いアイツの提げをブログ投稿です




「勿怪の幸い」 第三集




2022年も半分が過ぎ
今年もやって参りました
Gallery花影抄/根津の根付屋夏の根付祭り

そう今年は二年に一度のお待ちかねテーマ
物の怪根付フェスティバル「勿怪の幸い」開催の年なのです






2018年の9月に初めて開催されたグループ展企画なのですが
そもそものきっかけは
狛さんと至水で妖怪テーマの二人展 …
とかいう話だった
それが

狛さん「おい至水っ!オレと妖怪で勝負しろ!」

至水「おいやれんのか」

狛さん「おーやってやんよ」

という素敵なプロレスストーリーで煽り盛り上げしてたら

万征さん「おい聞いてないよオレも混ぜれや」

橋本氏「じゃ道甫さんと永島さんも」

と、どんどん人数が増え結局
Gallery 関係根付作家全員を巻き込んだお祭りイベントになったのでした
確か、確かそんな感じだった、うん



そして翌年2019はテーマと参加作家を選抜し直してのグループ展
根付作家によるグループ展
〜海の幸、山の幸〜

2020年は
二十二名の現代作家による、もののけ根付展
「勿怪の幸い」 第二集

2021年は
未来の付喪神たち 根付作家それぞれのカタチ

と続き
Gallery花影抄/根津の根付屋 夏の一大イベントとして定着した感があります

継続は力なり

ねーホントに



第一回目の「勿怪の幸い」はブログでも少し触れてましたけど
ここね↓

この時の出展作品から新作根付のブログ投稿が滞ってるのですよね
あー
なんか荒んでんなーこの頃の至水なー

未投稿分は追々ブログ投稿していきますが
そう先ずは今年のグループ展のお知らせです

もう既に昨日よりGallery花影抄/根津の根付屋夏で開催中

十四名の現代作家による、もののけ根付展
「勿怪の幸い」 第三集

会期 7月9日[土]~17日[日] ※11日[月]休廊
13:00〜19:00(最終日〜18:00まで)

となっておりまして詳細お問い合わせはこちら↓
Galleryの展覧会情報で御確認くださいませ

今回は他作家さんの出展されている根付作品等
デジタルカタログとして公開されております
こちら↓
pdf ファイルはこちらから↓






という事で今回のグループ展出展作品のブログ記事投稿していきますので
宜しくお願い致します!